電波女と呼ばないで

体内に蓄積された毒電波を吐き溜める場所

漏洩

もう我慢の限界


何もかもが己の殻を破り捨てて


中心無き根源へと


漏れ出ていく


言葉の網の目の間隙から


言いようのない<ソレ>が


処女膜を食い破って


顕現する


終末の彼方の地平が


メビウスの輪のように


無限ループして


終わりなき夢のまた夢が


網膜の裏側を駆け巡る


混沌の始原への回帰に


世界は恍惚として悦楽に浸り


邪なる境界の民どもが


淫靡な饗宴に耽溺する


漏洩した憎悪の洪水は


ノアの方舟さえも呑み


あらゆる意味は剥奪され


すべてが指向の乱反射と化す


この病んだ迷宮を脱出するには


あらゆる現象を否定しなければならぬ


全否定の後に残るは、清澄なる水鏡


そこに映る己が姿の浅ましさよ


──汝、自身の底を掘れ


深奥の虚無を克己せよ


さすれば汝、永遠の安らぎを得ん